設計によるセレンディピティ

"The most powerful force in the universe is compound interest."

NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」 第2回「孤独を抜け出るには?」

第2回 テーマ「孤独を抜け出るには?」

「上京してきた新入社員です.なかなか周囲に馴染めず友人もできません.このまま一生 孤独かと思うと不安になります.どうしたらいいのでしょう? 」Aさん(24歳男性)


解決すべく名乗り出た哲学者は,20世紀に活躍した孤独のスペシャリストエマニュエル・レヴィナス(1905-1995) *1

親兄弟をナチスに虐殺される壮絶な体験から考えた「孤独の本質」と,抜け出すためにすべき「行為」を提示する.

レヴィナスの考えた孤独の原因は,単に一人ぼっちになったということではなく,それは心の中にあった.

最初,レヴィナスは家族や友人がいてお互いになんでもわかりあえる世界にいた.

しかし,その世界の人達はいなくなる.

見知らぬ人々が住む世界は自分が悲しみに暮れているにも関わらず,まるで何事もなかったように平然と続いていた.

この時見えた世界,自分の周りには人格や感情,表情もなく,ただ立っている人々

顔すらもない,ただ在るだけの存在になった人々の姿だった.

この世界をレヴィナスは,イリヤ(il y a)と名付けた.

イリヤとは,フランス語で, ~がある という意味.

自分とは関係なく,ただ存在するだけの世界

レヴィナスは,孤独から抜け出るために他者の顔を見つめることから始めよという.

レヴィナスの唱えた,他者の顔をみつめることによって一体,なにが起きるのか?

レヴィナスは,顔は他者への一番近い入り口と考えた.

他者の顔を見ようと意識すると,のっぺらぼうのようなものから顔が生まれ,一人の人間に戻ってくるように感じると言う.

その人自身を直視すると,社会的属性(社会の役割)が消えてその人自身が浮かび上がる.

さらに,レヴィナスが見つめて欲しいのは,仲間や知り合いなど私が理解る世界の人々ではなく,外の世界に生きる人々.

この世界の人達[外の世界に生きる人々]を他者と認識し,理解することで孤独から抜け出すことが出来ると言う.


ゲストのお悩みは 石井竜也 さんの「自分から放つスターのオーラを消したい」

ニーチェ(1844-1900)は『悦ばしき知識』の中で, おのれの最善のもので害をなすと述べる.

おのれの最善のものとは,才能や優れた部分のこと

自分の美点が自分を駆り立ててしまって(自分の)弱い部分を抑えきれなくなり悲鳴をあげている,ということ.

アランは, 自分とケンカしないようにするべきであると考えた.

ここでの自分は,決めたことや宿命のこと.

自分を受け入れるしか無く,そうでないと自分が苦しむだけである.

*1:生年はロシア暦 です.

NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」 第1回「人を愛せない」

第1回 テーマ「人を愛せない」1

今回の悩みは「人を好きになるって、どういうこと?」

「恋愛をしてみたいのに好きな人ができません なぜでしょうか」Aさん(19歳 女性)
「どうやったら人を愛せるのでしょうか」Bさん(47歳 女性)

「愛」は昔から考えられてきた普遍的なテーマです.
例えば,古代ギリシャプラトンは「愛は完璧なものを求めること」と考え,「プラトニックラブ」という言葉もプラトン由来です.
このように,先哲達は「愛」にみんな一家言あります.

エーリッヒ・フロム(1900-1980)

ナチスの台頭にユダヤ人のフロムは自由を求め米国に渡ります.
フロムは1950年代の資本主義による経済的発展の真っ只中のアメリカで暮らしていくうちに,資本主義は万能ではなく,人間を豊かにするはずの資本主義が進むほど,愛が失われていくことに気付きます.

人々はなんでも手に入る世の中になり,愛も自然に手に入るものと考えているのではないか.
現代社会に生きる人々は,成功,名誉,富,権力 これらを達成する技術を手に入れるためにほとんど全てのエネルギーを費やしている.

人々は愛よりも他のものの方が重要だと考えているのだ
どうして愛するという技術学ぼうとはしないのか

そして,愛することは自然に手に入るものではなく技術である,と説きます.
フロムの言う技術は,恋愛マニュアルやモテるためのものではなく,愛することにどう向き合うか,その心構えを著書『愛するということ』で論じています.

次にフロムは, 愛は「落ちる」ものではなく「自ら踏み込む」もの
愛とは特定の人間に対するものではなく世界全体に対する態度や性格の方向性である
と言います.
フロムは,世界を愛せると特定の人も愛せると説きました.

The Art of Loving

The Art of Loving

愛するということ 新訳版

愛するということ 新訳版


ゲストのお悩みは磯野貴理子さんの

「時代の流れについていけない」

です.

レヴィ=ストロース野生の思考に従え と説きます.

野生の思考

野生の思考

レヴィ=ストロースは,先住民の文化や神話を調べた哲学者です.
野生の思考[文明と比較して劣っているわけではなく,もうひとつの別の考え方]に従え,というわけです.

一方,老師は 上善は水のごとし と言います.
老師は紀元前6世紀頃の世紀頃の中国の思想家で道(タオ)思想を唱えた人です.
意味は,上善[物事の最上の状態]は水のように逆らわずに流れていく.
時の流れはまるで大きな水の流れのようなものだから,逆らわず自分に無理のない範囲でただついて行けば良い,と考えました.

キーボードでフランス語を打ちたい

キーボード設定を変更(追加)

オススメのフランス語キーボードは,カナダのフランス語キーボード
フランスのフランス語キーボードだと,アルファベットの配置が変わってしまい英語のキーボードに慣れている人には使いづらいが,カナダのフランス語キーボードであれば,すでに慣れている英語のキーボード配列と同じ

Mac の場合1

[システム環境設定]、次に[言語とテキスト]または[キーボード]を開き、[入力ソース]で[Canadian French]を選択. [キーボードビューア]を利用して,画面上にキーボードを表示すると便利.


設定を加えず,option キーを利用してフランス語を打つ場合

é は option + e の後に e
è は option + _ の後に e
à は option + _ の後に a
ù は option + _ の後に u
â は option + i の後に a ( î,û,ê,ô は,a の代わりにそれぞれ i,u,e,o )
ï は option + u の後に i ( ü,ë は,i の代わりにそれぞれ u,e )

また,
ç は option + c
œ は option + q

フランス語の勉強を始める方のお役に立てたら幸いです.


参考文献

1) 佐藤 康『フランス語のしくみ《新版》 (言葉のしくみ)』 白水社、2015年、pp.144-145。


  1. Windows での説明も『フランス語のしくみ《新版》 (言葉のしくみ)』pp.144-145 でされています.

汎神論とは

宇宙全体がそのまま神であるという論.*1
一切は神であり,神と世界とは一体のものとする説.*2
物体も精神を含め,世界のあらゆるものは神のもつ性質のあらわれだと考える哲学観.神=自然.私たちの精神も身体も神の一部.*3

  • 文献

神学・政治論 下巻―聖書の批判と言論の自由 (岩波文庫)

神学・政治論 上巻―聖書の批判と言論の自由 (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

*1:岩波哲学・思想事典』p.1295r

*2:岩波哲学小辞典』p.186l

*3:哲学用語図鑑』pp.116-117

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☆☆☆

  • なぜ観賞したのか
     現在の羽生さんとの差異を知りたかったため.

  • 何が記録されていたか

 35歳当時の羽生さんは,既に,大局観,直感を意識している.
直感は経験から浮かび上がったものである.
他力と,相手に手を渡す重要性が語られる.
プロ棋士は,好み,直感を使い,方向性を間違わず そして読みで確率を上げる.  

放送当時のコンピュータ将棋は弱く,コンピュータ将棋に「直感」は無いと茂木さんは言う.
そして,コンピュータに好み,価値観はあまり無く,好みを磨くことは,価値観を磨くことだと言う.
だとすれば,直感を磨くとは,価値観を磨くことになるだろう.

  • 何を学んだか
     30代からは,直感,大局観を意識すると良い.

  • どう活かすか
     茂木さんの言う,直感と価値観の関係を吟味する.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

NHK「100分 de 名著」の12月がレムの『ソラリス』

名著71 「ソラリス」:100分 de 名著

ラッセル『ラッセル幸福論 (岩波文庫)』に続いて,とても楽しみだ.

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)

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