NHK Eテレ 世界の哲学者に人生相談 第8回「憎しみを抑えたい」
「人を憎んでしまう」どうすればいい? (55歳 女性)1
感情を徹底的に分析したフランスの哲学者デカルト(1596-1650)
デカルトはもともと頭で考えること,つまり理性こそが人間にとって大切だと考えていた.
しかし,デカルトは,戦争に巻き込まれヨーロッパ中を転々としていた悲劇の王女・エリザベトとの往復書簡によって,感情こそが人間にとって大切であり,愛と憎しみが人間にとって最も根本的な感情という考えに至る.
- 作者: 山田弘明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11
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デカルトは,
"憎しみ"と"愛"は表裏であり もともと"同じもの"である
自分の想像に騙されず 憎しみの反対の理由も考えよと述べる.
自分の想像に騙されず 憎しみの反対の理由も考えよ とは,なぜあの人はあんなことをするのか?という理由を,違った視点で考えよという意味.
思考実験では良心を考える.
良心 conscience の con は共に science は知る
なので,良心 conscience は,共に知る という意味.
良心は,誰かにこれは良い?と一瞬聞いているのだ.
ゲストのお悩みは池田美優さんの「母親が子離れしてくれない」
近代ドイツの生の哲学者ショーペンハウアー(1788-1860)は 人との距離は近すぎず遠すぎずという.
『法の哲学』の中で,家族や親子のあり方を説いたドイツのヘーゲル(1770-1831)は
子供は他人にも両親にも物件として所属するものではないという.
物件とは物のこと.
近代の社会,ヘーゲルの時代は,子供は親の所有物でありで労働力という発想があった.
ヘーゲルは,家族とは社会の一部であり,けして閉じていてはいけない.社会とお互いにつながり,関連しあっていなければならないと考えた.
そして,親の使命は子供を独立させ,社会に送り出すことだという.
宇宙を支配する数式リング
阪大の公式グッズに「宇宙を支配する数式リング」なる,素晴らしく厨二病感溢れる指輪がある.
しかし,阪大の生協でしか買えないらしく,買うために大阪行くのはちょっとなぁと思っていた. やっとAmazon で発売したと聞き,早速ポチった.
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[「宇宙を支配する数式リング」が売れると]非営利組織である阪大生協の売り上げの一部は阪大に寄付され、それが全学で研究目的にも使用されているから、間接的には科学の発展に関係する https://twitter.com/hashimotostring/status/1002110230644207616
ということなので,科学の発展に僅かながら貢献できるのも嬉しい.
NHK Eテレ「100分 de 名著」神谷美恵子『生きがいについて』第4回 人間の根底を支えるもの
- 作者: 神谷美恵子,柳田邦男
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/10/06
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「生きがい」の問題を考えぬいていくとき、ひとはいつしか「宗教的なもの」に近づいていく。それは決して既成宗教や宗派の枠にとらわれるものではない。それを神谷は、教義や礼拝形式などの形をとる以前の「目に見えぬ人間の心のあり方」と呼ぶ。神谷は、困難に直面している人々と対話する中で、彼らが、自分を超えたより大きなものに生かされていると感じており、自己をあるがままに大きな力にゆだねることで、困難に立ち向かう力を得ていることに気づくのだ。第四回は、神谷美恵子が「生きがいについて」後半でたどりついた独自の「宗教観」を読み解くことで、「人間の根底を支えるものとは何か」を考えていく。 名著76 「生きがいについて」:100分 de 名著
神谷がこの本の中で「生きがい」を告げ知らせるものは大きく分けて3つある
- 人
- 言葉
- 自然
「変革体験」は「気づき」「目覚め」のような簡単な言葉に置き換え,人生を根本から変えるような体験のこと
変革体験を経て,生きがいを見いだす
変革体験は使命感を伴っている.つまり生かされていることへの責任感
生かされていることへの責任感=自己の生が大きなもの[天,神,宇宙,人生]に必要とされている.それに対して忠実に生き抜く責任がある.
変革体験とは大きなものに生かされているという「発見」 この発見が使命感につながる. この時,人は生きがいに目覚めると神谷はいう
素朴なことの中に壮大なものが潜んでいるのが「変革体験」
身近な経験を深めていくことは「生きがい」を見いだしていくこと
神谷は,長島愛生園で暮らす近藤宏一さんに影響を受けた.
- 作者: 近藤宏一
- 出版社/メーカー: みすず書房
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生きていてよかったという実感
人は自分で生きているのではなく,人々とのつながりの中で生きている.つまり,つながりに生かされている
神谷はハンセン病の人々の中に,既存の宗教や宗派に固定されない,生きた「宗教」があることを感じた.それが,人間の根底を支えていることに気づく.
自分をとりまく大きな力の中に自己を発見していく.その道のりにこそ「生きがい」は見いだされる.
- 作者: 神谷美恵子他
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/10/06
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- 作者: 神谷美恵子
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NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」第7回「“死”“死別”特集」
「死の恐怖や不安をどうすれば?」Aさん(30歳 男性),Bさん(18歳 女性)1
古今東西の哲学者達は「死」について考えてきた歴史がある
心の落ち着きを快楽と考えたエピクロスは 我々が存在するとき死は存在せず 死が存在するとき 我々は存在しないという.
死は生きている間,わからないこと.なぜ死んでからしかわからないことを生きている間にあれこれ想像するんだ?本当の死と,自分が思ってる死は違うはずではないか,と考えた.
20世紀ドイツで活躍した,人の存在を問う"死の哲学者"ハイデガー(1889-1976)
人間の存在について考えた哲学者で,人間は死ぬ存在だから必然的に死に結びつけて考えた.
ハイデガーは 死を意識するからこそ人生は輝くのだと述べる.
ハイデガーは人間は死に向かう存在だという.
だからこそ,死をあらかじめ覚悟すれば人は本気で生きることができる.
「自殺はなぜいけないの? 人はなぜ生きるの?」Cさん(20歳 女性)
18世紀ドイツで活躍した"生の哲学"の先駆者である哲学者ショーペンハウアー(1788-1860)は,『自殺について』の中で
自殺は真実の救済にならないという.
では,真実の救済とは何か?
ショーペンハウアーは,人が苦悩から抜け出そうともがいている状態を,心の手術が行われていると表現する.
手術が終われば,心の問題は取り除かれる.
しかし,もし手術に耐えきれずに自殺してしまったら,真の救済を投げ捨てることになる.
自殺=真の救済を捨てること
ドイツの社会心理学者で哲学者エーリッヒ・フロム(1900-1980)は,『自由からの逃走』で生きる意味を説く.
人生の意味がただひとつある それは"生きる行為"そのものである
人生の意味は頭で考えることではなく,"生きてる行為"そのものである.
「死別の悲しみと後悔から抜けられない」Dさん(49歳 男性)
明治から戦前にかけて活躍した日本を代表する哲学者西田幾多郎(1870-1945)
西田は,西洋の哲学と日本の思想を融合させたいわば日本哲学の父.
そんな西田哲学の動機は悲哀.
中でも,死別の悲しみに関して深い思索を行った西田.
『西田幾多郎随筆集』「我が子の死」
わが子との死別体験から西田は
後悔の念の起こるのは 自己の力を 信じ過ぎるからであるという.
「後悔の念の起こるのは」は「苦悩するのは」ということ.
西田は気晴らしをしても,悲しみを忘れようとしてもうまくいかなかった.
人は「悲しみ」と「喜び」を比較してしまうことで苦悩する.
それは,西田の「純粋経験」(ありのままに経験するということ)という概念と結びついている.
「純粋経験」を自己の力であれこれしようとするから苦しい.
では具体的にどうしたらいいのか?
西田は 折にふれ物に感じて思い出すのがせめてもの慰藉である 死者に対しての心づくしであるという.
慰藉とは慰めのこと.
西田は,悲しみを無理に抑えず「純粋体験」として受け入れ,死者を思い出すことの大切さを提示する.
NHK Eテレ「100分 de 名著」神谷美恵子『生きがいについて』第3回 生きがいを奪い去るもの
- 作者: 神谷美恵子,柳田邦男
- 出版社/メーカー: みすず書房
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「容易に癒えない病を生きる苦しみ」「愛する人を失った悲しみ」……私たちは、「生きがいを奪い去るもの」を決して避けては通れない。
そんな「苦しみ」や「悲しみ」と私たちはどう向き合ったらよいのか? ハンセン病患者たちが教えてくれるのは、暗闇の中にいる人間こそがむしろ「光」を強く感じるという事実だ。 体が動かなくなったときにこそ感じられる「ここに存在していることの意味」。 大事な人を失ったときにはじめて感じる「命の尊さ」。 わが身に降りかかってくる困難を避けるのではなく、その意味を掘っていくことこそ「生きがい」を深めていく営為なのである。 第三回は、「生きがいを奪い去るもの」との向き合い方、試練に向き合ったときにはじめて気づかされる「生の深み」を学んでいく。 名著76 「生きがいについて」:100分 de 名著
- 神谷はどん底の暗闇の中でこそ光を見出すことができるという
- 奪いされたことで改めて気づく「生きる意味」を紐解き,「生きがい」が奪われたときにどうすればいいかについて考えていく
- 生きがいは人間の中に隠れて存在している
- 病気や天災,愛する人の死は喪失の経験でもあるが人生が大きく変わる契機,新しく生まれ変わるチャンスでもある
人はどうすれば生きがいを取り戻せるのか?
神谷は,人の死は2通りあると考えた
1. 社会的な死 (知人などの死)
2. 私の死 (その存在に全てを賭けていた人の死,私が死んだに等しい経験)
神谷は,かなしみこそが生きがいを導く光という.
- 「生きがい」は無くなることはなく,失ったと感じるだけ
- 私を少し横に置いてみる,と考えたパール・バックを例に,忍耐強くかなしみに耐え「待つ」事で生きがいを見出す,他者の悲しみと共鳴することで再び生きがいを見出すことができると神谷は述べる.
- 自らの後悔や悲しみを経験することは人々の中に他者と響き合う弦のようなものを作り出す
- 生きがいは個的な経験である
神谷美恵子『生きがいについて』 2018年5月 (100分 de 名著)
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NHK 「世界の哲学者に人生相談」 第6回「幸せになるには?」
第6回「幸せになるには?」
「家庭内の状態が最悪 どうしたら"幸せ"になれる?」(30代女性)
この問いにラッセル,ヒルティ,アランが手を挙げる.
この3人は19世紀から20世紀にかけて活躍した哲学者.
3人とも幸せについて論じている.
中でも特にアランが一般の人になじみやすい幸福論を説いている.
アラン(1865-1951)は,高校教師として生徒と触れあいながら,より具体的な哲学を深めた.
- 作者: アラン,Alain,神谷幹夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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幸福は他人に対しても義務である なぜならば幸福は人に伝染するからだ
悲観主義は感情によるもの 楽観主義は意志によるものである
という.
ネガティブに捉えられがちな雨の日を例に,不幸をポジティブに切り替える考え方が提示される.
ゲストのお悩みは元宝塚の遼河はるひさんの
「舞台の時に緊張 どうすればいいのか?」
20世紀最高の知性の一人・イギリスのラッセル(1872-1970)が応える.
緊張屋だったラッセルは,うまくいこうが失敗しようが広い宇宙にはなんら変化はないじゃないか,と考え
宇宙規模から自分をとらえよ
と述べる.
NHK「100分 de 名著」神谷美恵子『生きがいについて』第2回 無名なものたちに照らされて
- 作者: 神谷美恵子,柳田邦男
- 出版社/メーカー: みすず書房
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ハンセン病療養施設「長島愛生園」に精神科医として調査に入った神谷美恵子。 しかし患者たちは決して心を開いてくれなかった。 「奥深い問題を探求する上で意味あるものは、むしろそうした機械的調査のあらい網の目からは洩れてしまう」。 そう宣言し、神谷美恵子はこれまで使ってきた学術的方法を放棄する。 その上で、神谷はハンセン病患者たちの只中に入っていき、本当の意味で言葉を交じり合わせていこうとした。 その結果、むしろ患者たちから照らし出されるように「生きがいの深い意味」を知らされていくのだ。 第二回は、神谷美恵子の半生を辿り、彼女が突き当たった壁や困難の意味を考えながら、本当の意味で人間に寄り添っていくとはどういうことか、また、無名な人たちに照らし出される「生きがいの深い意味」を明らかにしていく。 名著76 「生きがいについて」:100分 de 名著
- 「生きがいの深い意味」に迫る
神谷は精神科医となり,1957年,43歳から7年間,長島愛生園で働く.自宅から片道5時間かけて通っていた.(神谷は41歳でガンに侵されている)
神谷の当初の目的は精神医学の調査だった.
患者からのアンケートには,
毎日 時を無駄に過ごしている,たいくつだ,という返答ばかり.
しかし,中には志樹逸馬のように生きる喜びをあらわす患者もいた.
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同じ状況でも2通りの人間がいる.それはなぜか?
神谷は,研究ではなく,患者と人間対人間として向き合うようになる.
人間がいきいきと生きて行くために,生きがいほど必要なものはない,という事実である.それゆえに人間から生きがいをうばうほど残酷なことはなく,人間に生きがいをあたえるほど大きな愛はない.
- 生きがいがあるから人は生きている
なぜ私たちでなくてあなたが? (うつわの歌 新版 「癩者に」より抜粋)
- 作者: 神谷美恵子
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出会った人,目にした人はあなたの何者かではないのか?
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神谷美恵子『生きがいについて』 2018年5月 (100分 de 名著)
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