設計によるセレンディピティ

"The most powerful force in the universe is compound interest."

NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」 第1回「人を愛せない」

第1回 テーマ「人を愛せない」1

今回の悩みは「人を好きになるって、どういうこと?」

「恋愛をしてみたいのに好きな人ができません なぜでしょうか」Aさん(19歳 女性)
「どうやったら人を愛せるのでしょうか」Bさん(47歳 女性)

「愛」は昔から考えられてきた普遍的なテーマです.
例えば,古代ギリシャプラトンは「愛は完璧なものを求めること」と考え,「プラトニックラブ」という言葉もプラトン由来です.
このように,先哲達は「愛」にみんな一家言あります.

エーリッヒ・フロム(1900-1980)

ナチスの台頭にユダヤ人のフロムは自由を求め米国に渡ります.
フロムは1950年代の資本主義による経済的発展の真っ只中のアメリカで暮らしていくうちに,資本主義は万能ではなく,人間を豊かにするはずの資本主義が進むほど,愛が失われていくことに気付きます.

人々はなんでも手に入る世の中になり,愛も自然に手に入るものと考えているのではないか.
現代社会に生きる人々は,成功,名誉,富,権力 これらを達成する技術を手に入れるためにほとんど全てのエネルギーを費やしている.

人々は愛よりも他のものの方が重要だと考えているのだ
どうして愛するという技術学ぼうとはしないのか

そして,愛することは自然に手に入るものではなく技術である,と説きます.
フロムの言う技術は,恋愛マニュアルやモテるためのものではなく,愛することにどう向き合うか,その心構えを著書『愛するということ』で論じています.

次にフロムは, 愛は「落ちる」ものではなく「自ら踏み込む」もの
愛とは特定の人間に対するものではなく世界全体に対する態度や性格の方向性である
と言います.
フロムは,世界を愛せると特定の人も愛せると説きました.

The Art of Loving

The Art of Loving

愛するということ 新訳版

愛するということ 新訳版


ゲストのお悩みは磯野貴理子さんの

「時代の流れについていけない」

です.

レヴィ=ストロース野生の思考に従え と説きます.

野生の思考

野生の思考

レヴィ=ストロースは,先住民の文化や神話を調べた哲学者です.
野生の思考[文明と比較して劣っているわけではなく,もうひとつの別の考え方]に従え,というわけです.

一方,老師は 上善は水のごとし と言います.
老師は紀元前6世紀頃の世紀頃の中国の思想家で道(タオ)思想を唱えた人です.
意味は,上善[物事の最上の状態]は水のように逆らわずに流れていく.
時の流れはまるで大きな水の流れのようなものだから,逆らわず自分に無理のない範囲でただついて行けば良い,と考えました.