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"The most powerful force in the universe is compound interest."

NHK Eテレ「100分 de 名著」神谷美恵子『生きがいについて』第1回 生きがいとは何か

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

「生きがいとは何か」という極めてシンプルな問いからはじまる「生きがいについて」。神谷美恵子がとりわけこだわったのは、「生きがい」が決して言語化できない何かであり、考える対象ではなく「感じられる何か」であるということだった。「存在の根底から湧き上がってくるもの」「自分がしたいことと義務が一致すること」「使命感に生きること」。神谷が生きがいをとらえようとする様々な言葉から浮かびがあるのは、生きがいが、他者のものとは安易に比較できない「固有のもの」であるということだった。第一回は、神谷美恵子が探求し続けた「生きがい」の多面的な意味を、さまざまなエピソードを通して明らかにしていく名著76 「生きがいについて」:100分 de 名著

精神科医神谷美恵子は1966年『生きがいについて』を発表.
出版後「生きがい論ブーム」を巻き起こし,「生きがい」という言葉が大ブームになる.
ところが,この言葉は行動経済成長期,企業戦士を鼓舞するために利用され神谷は憤りを感じる.

  • 「生きがい」は人生を底から支えているもの
  • 「生きがい」を毎瞬 感じなくてはならない

  • 神谷が言う「生きがい」は「仕事」などでは無い.質的なものと,量的なものと考えたほうがいい.「生きがい」は数に置き換える事ができない,その人だけのもの.

  • 神谷は「生きがい」= 生存理由と述べる

  • 生きがい

    • 「この子は私の生きがいです」など生きがいの対象を指す時
  • 生きがい感

    • 「生きがい」を感じているという精神状態を意味する時
  • 神谷にとって「生きがい」は動的な言葉

  • 自分に向かって心の中でつぶやくほかないものが本当の生きがい

  • 神谷は,理屈から世界を見ることを戒め,根源的な経験から世界を眺めることを促している.

生きていくうえでぶつかる4つの問い

  1. 自分の生存は何かのため、またはだれかのために必要であるか。
  2. 自分固有の生きて行く目標は何か。あるとすれば、それに忠実に生きているか。
  3. 以上あるいはその他から判断して自分は生きている資格があるか。
  4. 一般に人生というものは生きるのに値するものであるか。

1, 2 は個人の問題,3, 4 は人類の問題

  • 人は,普遍的な問題から個人の問題を解決する傾向がある.神谷は,「生きがい」を発見するには,個人である自分のこと(1, 2の問題)から徹底的に考えるしかないと言う.

  • 神谷の言う「使命感」とは,自分のために誰かを使うのではなく,誰かのために自分を使うということ

  • 神谷は「生きがい」を失った時,「待つ」ということが大切と言う.

  • 「待つ」ことは創造的な新しいものを生み出す,どうしても欠くことのできない営み
  • 「生きがい」は一見,消極的に見えるようなもの(「待つ」)の後ろに隠れていることがある.
  • 「待つ」とは,思いどおり生きることができないこと.それと人生の創造性とは関係がない.