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100分 de 名著 スピノザ『エチカ』 國分功一郎 第2回 本質

NHK Eテレ 100分de名著 『エチカ』第2回 本質 個人的メモ

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

「おのおのの物が自己の有に固執しようと努める努力[ここでの努力は,ある傾向や,方向性を持った力という意味 ]はその物の現実的本質にほかならない」 第三部 定理七 (スピノザ p. 177 後ろから3行目)1

  • 自分の存在を維持,固執しようとする力 = Conatus(コナトゥス)  
  • 我々を含めたあらゆるものには自分が存在し続けようとする,あるいは 今存在している状態であり続けようとする「力」がある

そういう力が働いているということがこの定理が言っていることであり,その「力」こそがそのものの本質

現代のホメオスタシス(恒常性)の原理と似ている

  • 本質は「力」

  • 農耕馬にとって善いことと競走馬にとって善いことは違う

「欲望」

第三部 諸感情の定義 (スピノザ p.236)

個物の本質は,自分の存在を維持,固執しようとする力 = コナトゥス

スピノザは,欲望(何かをしたい あるいは,何かをさせようとする「力」)も本質という

刺激に対して,コナトゥスのあらわれとして, 自分を維持するための衝動 = 欲望 が生まれる

「変状」

あるものがある形やある性質を帯びることを「変状」という

例えば日が当たるという刺激を受けると皮膚は黒くなるというかたちで「変状」する

刺激を受けて変化する それを「変状」という 

指南役の國分氏は,

欲望という言葉の使い方も,非常に大きく哲学の転換になっていた.
基本的に欲望は否定的に捉えられていた.
理性対欲望というのがごく普通の考え方だった.
古代ギリシャを読んでも,アリストテレスとかを読んでも欲望と理性の戦いがあってというのがよく書いてあること.
それに対して,スピノザは欲望を中立的に見ている.全然否定的に見ていない.  欲望はとにかく僕らを動かす力であって,コナトゥスを根源としているから無くすもなにもない.それ[欲望]に基づいて動いているのだから

と言う.

人間の「感情」

  • 感情とは,身体の変状
  • 喜び,悲しみ,欲望が感情の成分,基本的感情

國分氏は,

基本的に全部に共通しているのが,全てが変状だということ.
外部から刺激を受けて悲しみの方向にいくとか,喜びの方向に行くとか,こういうことしようとする力が出てくるとか.
そういうのをずっと持続しているのが人間存在

当時のヨーロッパは笑いは多くの場合,嘲弄としてとられていた.
上流階級の社交界だと嘲弄は強いパワーを持っていた. スピノザは嘲弄とガハハと楽しく笑うことをきちんと区別しようとした.
ガハハとたくさん楽しく笑うことはとても大切なことだとエチカの中で強調している.

と言う.

17世紀に情念論,感情論がたくさん書かれた.

スピノザは,どうしたら 第四部 定理三三,第四部 定理三四 (スピノザ p.40)2を乗り越えられるか?を考えた

「人間は受動という感情に捉われる限りにおいて本性上たがいに相違しうるし,またその限りにおいては同一の人間でさえ変わりやすく かつ不安定である.」第四部 定理三三 (スピノザ p.40)

「人間は受動という感情に捉われる限り相互に対立的でありうる.」第四部 定理三四 (スピノザ p.40)

スピノザの答えは,

「我々が感情をより・・ よく認識するに従って感情はそれだけ多く我々の力の中に在り、また精神は感情から働きを受けることがそれだけ少なくなる」 第五部 定理三 系 (スピノザ p. 103)

國分氏は,

私たちをどうしようもなく動かしている受動的な感情を自分で理解する.
理解することによって,受動的な感情からある程度逃れることが出来る.
これが,スピノザが感情に対して与えた処方箋.
それは完全には出来ない.けれども,分析できる.
分析するとその僕たちを捉えているネガティブな力が少し手を離してくれるというのが,スピノザが最終的に言おうとしたこと

つまり度合いで考えている.
完全に能動だとか,完全に自由だとかではなく,今までよりちょっと楽しくなったでしょ,悲しみがちょっと減ったでしょ
そういう考え方が凄くスピノザのプラクティカルなとこだし,明日から実践出来るところ

と言う.

NHK Eテレ 100分de名著 『エチカ』 第2回 本質


  1. スピノザ 『エチカ(上)』 畠中尚志訳、 岩波書店〈文庫〉、1951年。

  2. スピノザ 『エチカ(下)』 畠中尚志訳、 岩波書店〈文庫〉、1951年。