設計によるセレンディピティ

"The most powerful force in the universe is compound interest."

NHKエヴァ第六話再鑑賞

レイの「さよなら」というセリフは,シンジの病室から出る時と,零号機に搭乗する時の2回あるが,病室から出る時の方が悲しく感じた.

プラグスーツに着替えの際,シンジは丁寧に,レイは雑に,ブラジャーも投げて脱ぐ.
シンジと綾波の会話に気を取られ.今まで気付かなかったが,ここに,シンジらしさと,レイらしさが表現されていたことに気づいた.

レイの「何泣いてるの?」のセリフに,シンジへの興味の感情を感じる.
ラストのレイの笑顔が,エヴァンゲリオンの代表的な場面とされているが,何度見ても笑いすぎな気がしてならない.

365日のシンプルライフ

ミニマリズム,断捨離など脱物質主義が流行っていて(いる?)気になっていたので鑑賞.

365個までのモノでなんとか生活するストーリーと思っていたが全く違った.
主人公は,必要なモノは100個くらいで,その次の100個は人生を楽しくするためのモノと締めくくる.

現状の生活からスタートし,不必要なモノを捨てるのではなく,
全てモノを無くし,必要なモノを持ってくる
というアプローチだったからこそそれに気づけたのだろう.

1日目,最初に必要なモノがコートということが面白い.
コートを選ぶ理由は,服を着ないとレンタルスペースに預けたモノを取りに行けないからだ.
これほど服が大事とは思わなかった.

携帯もコンピュータも要らないと主人公は言いつつが,すぐに使う生活に戻っている.
インターネット接続無くして他者との繋がりを維持しにくい時代ということかもしれない.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

オススメ哲学入門書

哲学史を知っていると様々な思想が関連づき,勉強しやすい.
個人的にオススメする哲学史,哲学の入門書をまとめておく.

史上最強の哲学入門 (河出文庫)

史上最強の哲学入門 (河出文庫)

真理,国家,神,存在について古代,近代,現代の哲学者のアプローチがわかりやすくザックリ書かれている.
詳しくない時代の思想を知れてとても良かった.
今からおすすめする本の中で最も読みやすいと思う.

図説・標準 哲学史

図説・標準 哲学史

ハイデガーを研究していた友人に勧めてもらった.
図解がわかりやすい(かもしれない)

哲学書とは思えないデザインで気になり手にとった.
内容も良く,様々な層の人に読んで欲しいと思う. 読まずに死ねない哲学名著50冊 (フォレスト2545新書)』の著者 平原卓さんの先生である竹田青嗣さんの著書.
高校生のための とあるようにターゲットが明確.是非,高校生に勧めたい.
哲学者の考えと私たちとの関わりについて記された [未来への架け橋] と,哲学的思考の訓練ができる 哲学の問い は秀逸.

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

著者の熊野純彦さんは今の日本で最もキレている哲学者だ,と言う言葉とともに教授から上記の二冊を勧めてもらった.
読むと,初学者の私にも著者の凄さがわかる.ただ,多少哲学の知識が無いと,軽い気持ちでは読めないと思う.

現代思想史入門

哲学の入門書とは言えないが,現代の思想が追える.

現代思想史入門 (ちくま新書)

現代思想史入門 (ちくま新書)

現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!

現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!

NHKエヴァ第伍話再鑑賞

  • プールのシーン,2-Aは男子も女子も仲の良いクラスだ.
  • シンジをトウジが先生と呼ぶところに距離の近さと,尊敬の念を感じる.
  • レイとゲンドウが話しているシーンで,オペレーターがMAGIの通信に関して音声でやりとりしているところが20年前から見た2015年と現実とのギャップが面白い.
  • リツコがレイに関して,良い子だが生きることが不器用 と評するのがレイのオリジナルのユイを知っているから,良い子であり かつ,クローン故の生きることの不器用さも含めて言っているように感じた.
  • ゲンドウのメガネをかけたシンジを見たレイは,シンジをゲンドウに重ねて捉えるのではなく,大事なメガネに勝手に触られて怒った表情をしている.
  • レイを押し倒した時,使徒を倒した時と同じく部屋に虹が出ている.
  • レイのビンタは,思いを寄せるゲンドウに対して,ゲンドウの息子であるシンジが悪態をついたからではなく,父親を悪く言ってはいけないという思いのユイのビンタに見えた.

カント『純粋理性批判』 ゼミ

純粋理性批判 上 (岩波文庫 青 625-3)

純粋理性批判 上 (岩波文庫 青 625-3)

Kritik Der Reinen Vernunft

Kritik Der Reinen Vernunft

岩波文庫をテクストに,原書で補いながら精読する.

原文の隔字体(Gesprt)は 強調 する

p.13

第一版序分(1781年)

人間の理性は
理性が斥けることもできない問題
答えることもできないような問題
に悩まされるという Schicksal[n]:宿命 を担っている.

理性が斥けることができない とは
これら[理性が斥けることもできないような]の問題が理性の Natur[f]:自然的本性(ほんせい) によって理性に課せられているから

理性が答えることもできない とは
かかる問題[理性が答えることもできないような問題]が人間理性の一切の能力を超えているから


Natur[f]:自然的本性 = 人間がみな共通に有している自然の組成や性質,人間の本質


人間の理性が,このような宿命を担っている苦しい立場に陥いるのは,理性に責任があるわけではない.
理性は原則から出発する
これらの原則は, 人間の経験においては必ず使用されるようなものでなければならないもの
同時に
この[原則の]使用は経験によって十分に実証せられている

これらの原則をもって 理性は(その自然的本性上、必然的にそうせざるを得ないので) 条件からそのまた条件へと条件の系列を遡ってますます高く昇っていく.

しかし理性が悩まされる問題は
[理性の用いる原則は、経験の域を脱したものでなければならないのに,経験によって為されてゆくことになり]
尽きるところを知らないので,

理性は
このような仕方[条件の系列を遡ってますます高く昇っていく仕方]では
理性の Geschäft[n]: 務め がいつまでも unvollendet: 未完成 のままでなければならない[bleiben müsse]ということに気づく

そこで理性は,
原則の一切の可能的な経験的使用[möglichen Erfahrungsgebrauch] を超える [「理性の原則とはこういうものだ」ということを、 経験のなかから,定義すること,理性の原則を作成することは不可能]
にも拘わらず

[理性の務めを完成させるため] 常識とすら一致するほど確実に見えるような原則に逃避せざるを得なくなる→ 混迷と矛盾に陥る→ どこかに隠れた謬見が根底に潜んでいるのに違いないことを推量しはするものの, 理性の用いる原則は, 一切の経験の限界を超出しているので, 経験による吟味をもはや承認しないから どこかに隠れた謬見を発見することができない

p.14

この果てしない原則の争いを展開する競技場 = Metaphysik[f]: 形而上学

今日では,かつての対象が著しく重要な形而上学にあらゆる軽蔑をあからさまに示すことが,時代の好尚(Modeton[m] : はやり,流行) となってしまった

形而上学の統治は,最初は 独断論者(Dogmatiker[m]) の執政下にあって専制的であったが,無政府状態 に堕した

独断論 カントは非難の意味をこめて用い,認識能力の限界や本質について吟味せず,純粋な理性によって実在を認識しうると考える形而上学説(『岩波哲学小辞典』p.169)

(ここでの独断論者とは,デカルトスピノザ etc... を指している.)

懐疑論者(Skeptiker[m]) は,しばしば国民の結束を寸断したが,独断論者が新たに形而上学の植民を企てるのを防止できなかった.

近代に及んで,これら一切の紛争が終結を告げ,形而上学(原文では,指示代名詞 jener)の[諸学の女王であるという]要求の合法性に関する問題が解決せられるかの観があった.

ところで形而上学が経験に由来するという疑いは「理性の用いる原則は,一切の経験の限界を超出している」(p.13)から間違いだった.

p.15

IV

そこで形而上学は依然として[諸学の女王であるという]要求を主張することになり, またしても 独断論 に陥いり,軽蔑(Geringschätzung[f]) のなかに落ち込んだ.

現代では,形而上学のあらゆる方法(Wege)が(一般の定説によれば)試みられ,無駄(vergeblich) に終わったあげく, 学問(一般)において優勢なものは疲労と全くの 無関心 とである

これ[疲労と全くの無関心]は学問(科学 Wissenschaften)の世界に,混沌と暗黒とを産む母であるが, 同時に,使いかたの不適切な努力のために学問が却ってはっきりしなくなり,
混乱に陥り
また 役に立たなくなった際には
やがて学問を改造し
開明する根源となり
[学問において有力な傾向をなす,疲労と全くの無関心は]少なくともその序曲をなすもの

無関心でいられない ような対象に関する研究に 無関心 を装っても無駄(umsonst) [理性の用いる原則は,一切の経験の限界を超出している(p.13)から]何かを考える限り,形而上学的見解に立ち戻らざるを得ない.

しかし諸学が全盛を競うさなかに生じ、 しかももし得られるものであるなら何びとといえども一切の知識のうちで最も愛して大切にするところの学[形而上学] に対する[カント以前の形而上学が抱いていた矛盾に気づいたため,懐疑による]無関心は, 注意と熟考(Nachsinnen)とに値する現象だ.

V

この無関心 = もはや見せかけの知識[カント以前の形而上学が抱いていた矛盾]に釣られていない現代の成熟した 判断力 の結果 = 自己認識に着手し,そのための 純粋理性批判 を設けよ,という理性に対する要請

p.16

VI

即ち 理性の自己認識の任務のための法廷 = 純粋理性批判は, 理性の要求 が 正当であれば 理性を安固に 不当であれば 要求を強権の命令によってではなく,理性の永久不変な法則によって棄却し得る

純粋理性 人々が一口に理性と考えている、知識と理性との混合物から,一切の知識を排除したア・プリオリな理性

しかし私がここに言うところの批判[純粋理性批判]は,ア・プリオリな認識に関して,理性能力一般を批判すること 従ってまたこの批判は, 形而上学一般の可能もしくは不可能の決定 この学の源泉,範囲および限界の規定 ということにもなるが, しかしこれらは原理に基づいてなされる.

岩波哲学・思想事典

岩波哲学・思想事典

岩波哲学小辞典

岩波哲学小辞典

電通社員の自死を受け《労働》《仕事》を思索した.

政治哲学者ハンナ・アーレントは『人間の条件 (ちくま学芸文庫)』の中で

  • 労働 (labor) =自分の生命維持そのもの
  • 仕事 (work)= 単なる生命維持を超えた制作活動

としている.

身体を壊すような「自分の生命維持」さえしにくい環境では,
「単なる生命維持を超えた制作活動」が出来るはずが無い.

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

NHKエヴァ第四話再鑑賞

オールナイトの映画館,いちゃつくカップルをシンジはどのような気持ちで観たのだろうか.
その後の赤い風景のシーンはとても不安になる.

シンジが崖で座っているシーンも今回は気になった.
自死を選択する可能性は高いが,ケンスケに助けられた.

「あんたみたいな気持ちで乗られるの迷惑よ」と言うミサトは上司として不適格ではないか.
シンジ次第で,世界が,少なくとも第三新東京市は破滅する状況で,
使徒との戦闘後に予想できる14歳の心理のマネージメントに困窮する人材が
国連直属機関の重要なポジションに就くことはないだろう.

シンジを見送りに来るトウジ,ケンスケの別れの言葉が大人だ.