7/3日,『数学の言葉で世界を見たら』から学んだこと
複素数の表示
実数の世界では,1はどんな数を掛けてもその数になるので,掛け算の単位と呼ばれる.
数の概念を複素数に拡張すると,2乗して -1 になる数(0,1)が登場する.
これを虚数単位と呼び,iという記号で表す.つまり,
i = (0,1) = √-1.
複素数は (a,b) = (a,0) + (0,b) と分解できて, (a,0) は実数aと同じこと, (0,b)は虚数単位iを使うとibと書ける.そこで
(a,b) = a + ib,
と表せる.これが高校で習う複素数の表示.
複素数は2つの実数の組を「数」と考えて,足し算,引き算,掛け算,割り算ができるようにしたもの.
代数学の基本定理
複素数まで考えると何次の方程式でも解くことができる. どんな次数の方程式でも複素数の解を持つはず.
4元数
4つの実数の組(a,g,c,d)の掛け算の規則. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%85%83%E6%95%B0
複素数の掛け算とは
ガウス平面の上の位置を,原点を中心に回転させ,原点からの長さを伸ばすということ.
「博士の愛した数式」
複素数の世界では,指数関数の掛け算の法則と3角関数の加法定理は同じもの.
オイラーの公式 cosθ + i sinθ = e^{iθ} で θ = π とすると,
cosπ = -1, sinπ = 0, なので,
-1 = e^{πi},
となる.この関係はオイラーの等式 (Euler's identity) と呼ばれ,「博士の愛した数式」でもある.
3角関数は,古代ギリシアの時代から研究されていた平面幾何の研究から生まれた.
指数関数は,プラーエの天文学に触発されて,ネイピアが大きな数の計算を簡単化するために開発した.
生まれも育ちもまったく異なる2つの関数だが,「空想の数」,つまり複素数の世界では深く結びついていた.
群
ガロアが作ったフランス語の数学用語"groupe"英語では"group"の日本語訳で,
「ある性質を持ったものの集まり」という意味.
掛け算と割り算ができて,単位元があり,掛け算に結合法則が成り立つような「ムレ」のことを群と呼ぶ.
難しい方程式を解くためには使う数の範囲を広げる必要がある.
整数係数の一次方程式なら分数を使えば解ける.
2次方程式を解くためには,整数の平方根が,
3次方程式では,立方根が必要.そして,
5次以上の方程式では,べき根で表すことのできない数が登場する.
一般の5次方程式の解は,べき根では書けないが,楕円モジュラー関数というものを使うと表すことができる.
ガロア群は方程式を解くためにどのような数が必要になるのか教えてくれる.
参考文献
1) 大栗 博司:『数学の言葉で世界を見たら』幻冬舎, 2015.
数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学 (幻冬舎単行本)
- 作者: 大栗博司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/03/19
- メディア: Kindle版
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